補聴器の買い方

補聴器に興味はあっても、実際にお店に足を運ぶのはちょっと、という人も多いことでしょう。補聴器への疑問や不安を解消するためにも、お店での補聴器選びのプロセスを知りましょう。

補聴器店で

補聴器を購入する際に大切なのは、聴力や聞こえの状態、予算なども含めて、本当に使う人に合ったものを選ぶことです。心から納得できる補聴器を手に入れるためには、少し時間はかかるかも知れませんが、しっかりとした手順を踏んでじっくりと選ぶ必要があります。そして、購入後も自分の聞こえの状態に合わせてお店で調整を重ねることで、補聴器はさらに満足できるものになっていきます。
自分にぴったり合った補聴器を選び、毎日快適に使っていくためには、信頼できる補聴器店をみつけ、長く付き合っていくことがとても大切。ここでは、補聴器購入の一般的な流れを紹介します。
まずは、気軽にお店に行ってみることからスタートしてみましょう。

1⃣ カウンセリング

どんな時に不便を感じているのか、どういう音が聞こえにくいのかなど、自分の現在の聞こえの状態をできるだけ詳しくお店の人に伝えましょう。また、補聴器についての疑問や不安なども、遠慮なく相談することが大切です。お店の人は補聴器のプロですから、どんな小さなことでもそのままにしないで、気軽にお店の人に尋ねてみましょう。このカウンセリングから補聴器選びがスタートします。

ワンポイントアドバイス

ご家族と一緒にお店に行くこともおすすめです。一人で行くよりも安心ですし、ご家族からの意見はカウンセリングでも役立ちます。何より、聞こえの問題を家族で共有することがとても大切です。

2⃣ 聴力測定

現在の聴力や言葉の聞き取りの状態を正確に調べます。純音の聴力測定と言葉の聞き取りのテストを行います。専用の聴力測定機器やコンピュータを使用して、一人ひとりの聞こえの状態を把握します。ここで調べた情報が、これからの補聴器選びのプロセスのベースになります。

ワンポイントアドバイス

難聴とは、単に小さな音が聞こえなくなるだけではありません。言葉を聞き取る能力が低下している場合も多いので、このプロセスでしっかり調べましょう

3⃣ 補聴器の器種選択

聴力測定の結果もふまえた上で、使う人の聴力や聞こえの状態、そして補聴器を使う目的、予算などのさまざまな要素を検討しながら、使う人に合った最適な補聴器の候補を選びます。

ワンポイントアドバイス

タイプによる特徴の違い、価格と性能の関係など、少しでも疑問点や気になることがあったら、遠慮なくお店のスタッフに相談するようにしましょう。

4⃣フィッティング

お店のスタッフが、使う人の聴力や聞こえの状態に合わせて、補聴器の音域や音質、出力など、きめ細かな調整を行います。デジタル補聴器をコンピュータにつないで、専用のソフトウェアを使って、どの高さの音をどの程度増幅させれば聞き取りがよくなるのか、うるさいと感じている音はどんな音で、どの程度抑える必要があるのか、などさまざまな要素を検討しながら、緻密な調整を行います。
使う人の聞こえの状態や聞こえ方の好み、使用する環境に合わせてとても細かく調整できるのが、デジタル補聴器の特長ですが、言い方をかえると、使う人に合わせてしっかりと調整やフィッティングができていないと、デジタルの補聴器の持っている性能は充分に発揮できないということになります。
従って、自分にぴったり合った補聴器を選んでいくうえで、このフィッティングのプロセスは非常に大切だということができます。

5⃣ 試聴

実際に補聴器をつけて音を聞いてみます。静かなところだけではなく、騒がしい場所などいろいろな環境で言葉がどう聞こえるかを試してみるようにします。補聴器は毎日の生活の中で使用するものです。補聴器を使うのは、静かな場所ばかりではありませんし、うるさい場所ばかりでもありません。そうしたさまざまな場所で、補聴器は最適な聞こえを提供できなければなりません。
この試聴の段階でも、補聴器の聞こえ方についてお店の人と相談をしながら細かい調整を行い、いろいろな環境で快適に聞こえるような補聴器をつくりあげていきます。

ワンポイントアドバイス

補聴器をつけた時の聞こえ方をできるだけ具体的に伝えるようにしましょう。気になることはどんなことでも伝えるようにしてください。補聴器の自宅貸出サービスを行っているお店もあるので、相談してみましょう。

補聴器メモ

●補聴器の貸し出し
販売店によっては、この試聴のプロセスにおいて、補聴器の「貸し出しサービス」を行っています。これは、補聴器を一定期間(販売店によって異なります)貸し出してもらい、実際の生活の中で補聴器の疑似体験を行うことができるというサービスです。自宅に持ち帰って補聴器を試すことができるので、自分の毎日の生活パターンの中で補聴器の効果が実感できます。朝家族と一緒に朝食を食べる時の会話の聞こえ方がどう違うのか、補聴器をつけると会議の時の言葉の聞き取りやすさが変わってくるのかどうか、補聴器をつけない時とつけた時でテレビの音量がどのくらい違うのか、といったことを時間をかけてじっくりと確かめることができるので、お店での試聴と合わせて利用すれば、補聴器を使うと日常生活がどう変わるのかということをイメージしやすくなります。

6⃣ 購入

自分に合う補聴器が見つかったら、購入になります。購入する補聴器のタイプによって、すぐ持ち帰ることができるものと、完成までに一週間程度かかるものがあります。

耳かけ型補聴器
耳かけ型補聴器は購入した日からすぐに使用することができます。ただし、イヤモールドなどを使用する場合は、耳型を取ってからイヤモールドが完成するまで、一週間程度かかります。
既製の耳せんを使用する場合は、形状やサイズがいくつか用意されているので、自分に合った耳せんを選べばすぐに使うことができます。

耳あな型補聴器
耳あな型補聴器は、耳の穴にぴったり収まらないと、ハウリングを引き起こします。そのため、使う人の耳の穴の形にぴったり合わせたシェル(外形部)をつくる必要があります。そのため耳穴の型を取ってから、完成までに一週間程度かかります。

補聴器メモ

●耳型取り
耳あな型補聴器やイヤモールドを製作する場合には、使う人の耳の穴の形にぴったりと合わせるために、耳型(インプレッション)を採取します。この耳型をベースにして耳あな型のシェルや、イヤモールドが制作されます。
耳型を取る時は、鼓膜を守るためのストッパーを耳の穴の中に入れ、柔らかいシリコンゴムを耳の穴の中に流し込んで、耳の穴の形に合わせたシリコンの耳型を作ります。所要時間は10分程度です。正確な耳型が取れていないと、耳あなの形にぴったり合った補聴器やイヤモールドができないので、耳型採取はとても重要な作業だといえます。

7⃣ 購入後

補聴器を購入した後も、いろいろな環境での聞こえを確かめながら、さらに調整を重ねて、満足のいく補聴器に仕上げていきます。そのため、購入した後も定期的に販売店に通って、調整をしてもらうことが大切です。補聴器に慣れてくると、もう少しこう聞こえるようにしたい、この音が少しうるさく感じて気になるといった要望が出てくるようになります。少しでも気になることや不具合があった場合は、お店に相談するようにしましょう。
また、電池の購入や、点検とクリーニングなど、定期的に販売店に足を運ぶ習慣をつくり、その機会を利用して調整を受けるようにするといいでしょう。

ワンポイントアドバイス

お店に相談する時にできるだけ正確な情報を伝えることができるよう、日常生活で補聴器を使っていて気になることがあったら、メモを取っておくようにするといいでしょう。
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補聴器販売店を探す

ワイデックスの補聴器を取り扱っている販売店を検索できます。住所やキーワードから補聴器店を探すことができます。来店予約や問い合わせができるお店もあります。
補聴器店検索サービス

コラム

●認定補聴器専門店
認定補聴器専門店とは、財団法人テクノエイド協会が補聴器販売店からの認定申請に基づき、その店舗が、補聴器の適正な販売を行うために遵守すべきものとして定めている「認定補聴器専門店業務運営基準」に適合していると認定し、テクノエイド協会が認定証書を交付している補聴器販売店のことをいいます。
2010年12月現在で、認定補聴器専門店の数は550店弱です。
全国に補聴器販売店は、約6,000店舗あるといわれており、認定補聴器専門店はそのうちの約10%です。

●認定補聴器技能者
認定補聴器技能者とは、財団法人テクノエイド協会が、補聴器の販売や調整などに携わる者に対し、基準以上の知識や技能を持つことを認定して付与した資格のことをいいます。

●通信販売の補聴器
新聞やホームページなどで通信販売の補聴器の広告をよく見かけます。集音器や助聴器などの通販広告も少なくないようですが、管理医療機器である補聴器も通信販売で手に入れることができるようです。
それでは、通販で購入できる補聴器と販売店で購入する補聴器はどこがどう違うのでしょうか。
確かに、通信販売の補聴器は、販売店で購入できる補聴器に比べて手頃で購入しやすい価格帯のものが多いようですし、補聴器を年寄り臭い、できればつけなくないと思っている人にとっては、お店に行ってスタッフと話をすること自体に抵抗を感じるのかもしれません。また、販売店に行くのが面倒だと思っている人には都合のいい販売方法だといえます。そうしたことを考えると、通信販売の補聴器は、「この値段だったら失敗してもいいか」と思える位の価格設定も含めて、軽い気持ちで購入できる製品と受け取られているようです。
通信販売の補聴器と販売店で購入する補聴器の決定的な違いは、調整ができるかどうかという点とアフターサービスができるかどうかという点です。補聴器の目的は使う人の聴力の状態に合わせてその聞こえを補うということであり、聴力や聞こえの状態は一人ひとり違うということを考えると、通信販売の補聴器がその要求を満たすことができるのかという疑問があります。また、補聴器は購入後も専門家と協力しながら調整を繰り返して、使う人の聴力や聞こえに合わせていくプロセスが重要なので、そういう点からも、通信販売の補聴器が満足のいく聞こえを提供できるのかという点は疑問です。尚、管理医療機器である補聴器は、調整の必要性や安全面から対面販売が義務付けられています。
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