急速に進行する日本の高齢化
今後も、高齢者人口は平成32(2020)年まで急速に増加し、国民の約3人に1人が65歳以上の高齢者という本格的な高齢社会の到来が予想されています。
21世紀初頭の日本の高齢化率は先進諸国と比較しても、最も高い水準で、世界のどの国もこれまで体験したことのない本格的な高齢社会が到来すると予想されています。
そうした本格的な超高齢社会に突入している日本において、自分が難聴だと感じている人は約1430万人で、人口の11.3%(JapanTrak 2018)と試算されています。この数字は自己申告に基づくものなので、自覚していない難聴者はもっと多く存在しているといえます。そして、それらの人たちは補聴器の潜在ユーザーということができます。しかし、JapanTrak 2018データによると、自己申告難聴者数における補聴器所有率は14.4%にすぎません。
日本補聴器工業会の資料によると、2018年度の補聴器の出荷台数は約58万台で、2019年には、ようやく60万台を突破する見込みです。近年、補聴器の出荷台数は順調に伸びているということはできますが、補聴器を必要としている10人のうち、実際に補聴器を所有しているのは2人もいないというのが実情です。
それでは、海外の補聴器の普及の状況はどうなっているのでしょうか。日本補聴器工業会の資料によると、人口あたりの補聴器の出荷台数でみると、日本を1とした場合、アメリカとドイツは2倍強、イギリスは約4倍、比較的少ないフランスでも日本の2倍弱となっています。日本での補聴器の普及率は海外の半分以下で、日本の補聴器普及率はかなり低いと言わざるを得ません。
先に述べたJapanTrak 2018のデータによると、自己申告難聴者数における補聴器所有率は14.4%にすぎません。また、実際に補聴器を使用している使用率になると13.5%となり、アメリカの30.2%、ドイツやフランスの34%台と比べると大きな差があります。イギリスはさらに高く、42.4%という数字があり、日本と欧米諸国との差は顕著です。
この大きな差の原因にはさまざまなことが考えられますが、補聴器の販売制度の違いが大きく影響していると推測されます。国よって異なりますが、イギリスやデンマーク、ドイツなどでは、福祉に対して独自の伝統・制度を持っているため、補聴器の販売・供給体制が社会的に整備されており、補聴器が普及しやすい環境が整っています。そうした背景も日本と海外の補聴器普及率の差に影響を及ぼしていると思われます。
[難聴者率と補聴所有率] [主要な国の補聴器の使用率]
出典:JapanTrak 2018
日本は超高齢社会
日本はよく世界一の高齢社会といわれますが、皆さん、定義をご存じですか?世の中には分かっているようでよく分からない言葉が多々あります。例えば、高齢社会と高齢化社会の違い、平均寿命と平均余命などでしょうか?
高齢社会の定義(65歳以上の方の割合)は主に以下に分類されます。(定義は一般論になります)
日本に関しては、1970年に 7.1%で高齢化社会、1995に14.5%で高齢社会、2007年に21.5%で世界一の超高齢社会となりました。(ウィキペディアより)
また、総務省が発表した2018年9月15日時点の推計人口によると、65歳以上の人口は3557万人となり、総人口に占める割合は28.1%と過去最高を更新、人口の4人に1人が高齢者となったそうです。そして、2020年には高齢化率は29.1%、2035年には33.4%に達し、人口の3人に1人が高齢者になると推計されています。
寿命と余命
よく耳にする平均寿命と平均余命。皆さん違いや定義をご存じですか?人生の最後までの生存期間を基に生活設計を立てている方にとって、二つの定義の違いを間違えると経済的な問題などが生じる可能性があります。