「音を聞く」ということ

「音を聞く」ということ

私たちが普段何気なく聞いている「音」。当たり前すぎて考えたことがないかもしれませんが、そもそも「音」とは何なのでしょうか?このページでは「音」について考えてみましょう。

音の伝わり方

私たちはどのようにして聞くことができるのでしょうか。例えば、太鼓の音について考えてみましょう。太鼓を叩くと太鼓の皮が振動し、震えているのを見ることができます。皮が震えている間、皮は周りの空気を押したり引いたりしています。押した時には空気に圧力が加えられ、引いたときには引力が働きマイナスの圧力が加えられることになります。この空気の圧力の変化が空気中を波となって伝わり、私たちの耳に達し、音として聞くことができます。そして、空気中の圧力の変化の波を「音波」といいます。
音源から発生した振動は周りの空気を圧縮したり膨張したりさせ、1秒間に約340mの速度で空気中を伝達します。これは、水面に石を落とした時、落ちた点を中心に波紋が広がっていく状態に似ています。また、音は固体、液体、気体等を媒体として伝達されます。(媒体のない真空中では、音は伝わりません)

音の三要素

音には「強さ」「高さ」「音色」の三要素があります。私たちは何らかの音を聞いた時、"大きい"とか"小さい"と感じます。これが音の「強さ(強弱)」です。次に、女性や子どもの声は甲高い音に感じ、男性の声は低い音に感じます。これが音の「高さ(高低)」です。さらに、同じ音の強さ(大きさ)と高さで楽器を鳴らした時、ピアノやバイオリン等何の楽器の音なのかを聞き分けることができます。これが音の「音色(印象)」に関係しています。

音の強さ

音の強弱は、空気の圧力の変化量によって決定されます。この繰り返し変化する圧力を「音圧」といい、単位は"Pa(パスカル)"を用います。図1は、音波の空気の圧力変化を表したもので、線が密になっている部分はプラスの圧力が、疎になっている部分はマイナスの圧力が加わり、この繰り返しが波となって伝わります。また、矢印で表されている幅を「振幅」といい、この幅を大きくすると強い音、小さくすると弱い音として表すことができます。図2の例は、AとBの波形を比較して、Aの方がBより強い音であることを表しています。

音の強さ

音の強弱は、空気の圧力の変化量によって決定されます。この繰り返し変化する圧力を「音圧」といい、単位は"Pa(パスカル)"を用います。図1は、音波の空気の圧力変化を表したもので、線が密になっている部分はプラスの圧力が、疎になっている部分はマイナスの圧力が加わり、この繰り返しが波となって伝わります。また、矢印で表されている幅を「振幅」といい、この幅を大きくすると強い音、小さくすると弱い音として表すことができます。図2の例は、AとBの波形を比較して、Aの方がBより強い音であることを表しています。

音の音色

私たちは日常、いろいろな音を耳にし、それらが何の音なのか聞き分けることができます。これはそれぞれに「音色」があるからです。図5にはいろいろな音の波形が示されていますが、波形ごとに違いがあることがわかります。これは基となる波形(=基本波)に、その2倍(=第2高調波)、3倍(=第3高調波)、...の各高調波がどのような割合で含まれているかによって、固有の波形が作られているからです(=合成波形)。私たちは、この割合の違いによる音色で、音の種類を聞き分けています。

音圧とデシベル

私たちは、さまざまの種類の音の中で生活しています。聴力に障害のない健聴者は、身の回りの音のほとんどを聞くことができます。健聴者が聞くことができる最も弱い音圧は、1,000Hz(=1KHz)付近で"20μPa(20マイクロパスカル)"で、この時の音圧を「基準の値」と定義します。ところが、音圧をPaで表すとその数量は非常に大きな変化量になってしまうために、通常、音圧は「音圧レベル」で表し、その単位は"dB(デシベル)"を用います。デシベル(dB)はこの基準の値を0dB SPLとし、その比率で表すことになるので、大きな変化量に対して小さな値で表すことができます。※SPL=Sound Pressure Level

私たちの身の回りの音を例に取ると

  • 人のささやき声[20dB程度]
  • 人の小さな声[40dB程度]
  • 人の普通の声[60dB程度]
  • 人の大きな声[80dB程度]
  • 道路の交通音[85dB程度]
  • 電車の通るガード下の音[100dB程度]

人の声

私たち人間の話す声もさまざまな強さ(音圧レベル)や、高さ(周波数帯)から構成されています。低~中音域には母音が分布し、言葉の強さに影響します。中~高音域には子音が分布し、言葉の聞き取り(弁別)に影響します。このように、人間の話す言葉もさまざまな音域に分布しており、低音域と高音域では役割も違います。

コラム

●年齢によって聞き取れる音の高さが違う
聴力に障害のない20歳代の人が聞くことのできる周波数範囲は、15(20)~20,000Hzです。ところが、加齢とともに難聴になるタイプは高音域からだんだん聞こえが低下し、言葉の聞き取り(弁別)が悪くなります。(通常、加齢性(老人性)難聴といわれるものです)このような難聴の方は、音の大きさに対しては聞こえにくくなったと認識しづらいため、"最近聞き返しが多くなった"とか"テレビの音が大きい"など、周りの人が先に気付くことも少なくありません。

●モスキート音
年齢によって聞くことのできる音が違うということから、昨今注目されたのが「モスキート音」です。一般的に、人間は年齢を重ねるに従って、周波数の高い音が聞きにくくなってくるので、若者は高周波数のモスキート音を聞くことができますが、20歳代後半以降になると聞こくことができなくなります。このモスキート音は聞こえる人にとってはかなり耳障りなので、商業施設などに長時間たむろする若者を追い出すために使用されたり、若者だけに聞こえるという特性を生かして、携帯電話の着信音や年齢を予測するおもちゃにも活用されたりしています。

●音の見える化
首都圏の鉄道会社など15社が2020年7月までに、音のユニバーサルデザイン化支援システム「サウンドUD」を活用したサービスを提供する見通しになり、東京五輪・パラリンピックに合わせた訪日旅行者などの利便性の向上が期待されています。(2019年10月時点)
サウンドUDは、駅のアナウンスなどの音声信号を捉えて文字情報に即時変換する技術を活用する。「おもてなしガイドアプリ」など対応アプリを入れたスマートフォンに多言語で情報の表示が可能で、外国人や聴覚障害者にも分かりやすい形で情報提供ができます。
導入済みの京浜急行電鉄は72駅でホームや運行情報の案内に活用し、はとバスは来春から待合室で乗り場の案内などに使う予定です。

●AI音声認識
AI(人工知能)が音声を認識して、テキストを書き起こすサービスも進んできています。AIでテキスト化するためあまり費用をかけずに精度の高い文字起こしができ、議事録・インタビュー・講演などの文字起こしの手間を省き、業務生産性を高めています。
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