難聴は社会全体の問題です
難聴とは単に音が聞こえにくくなることではありません。一般的に加齢によって聴力が低下すると、音の大小にかかわらず言葉そのものが聴き取りにくくなってきます。「声は聞こえるのに、何を言っているのかがわからない」ということが起きるのもそのためです。言葉がうまく聴き取れず会話の中で話の内容がよくわかっていないのに返事をしてしまって相手に誤解を与えたり、途中で何度も聞き返すので会話が弾まなくなってしまったりといったように、スムーズなコミュニケーションができなくなりがちです。そうしたことが重なってくると、知らず知らずのうちに人と話をするのが億劫になり人と会う機会が減ったり、外出しないで家に引きこもりがちになったりという現象が起きてきます。難聴が原因で「社会からの孤立・疎外」という問題が起きる恐れがあるということもいえます。
難聴は本人だけの問題ではなく、家族や職場、地域のコミュニティなど本人をとりまく社会との関係において非常に重要な問題であるといえるでしょう。